「鉄鋼業の都市」攀枝花市水素バレーへ向(中国初の民生用液体水素ステーションを運用開始)

 攀枝花は四川省の南に位置し、1960年代に沿海部から内陸部へ産業を疎開させようとした政策の下、建設された人工的な都市であり、埋蔵が豊富な石炭と鉄鉱石をいかして鉄鋼業を中心とした重工業の産業都市でもある。

 2025年12月4日、攀枝花市で、中国初の太陽光凝縮による水素製造生産ラインと液体水素ステーションが同時に運用を開始した。これはエネルギー転換政策を推進する攀枝花市の「東方の水素バリー」構想にとって大きな一歩となった。攀枝花市は、攀枝花都市建設交通集団と北京納欧水素電気科技有限公司の共同投資により、水素製造と水素充填基地を建設した。この基地では、「多面体チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)太陽光の凝縮光量子による水素・酸素製造、発電、熱エネルギーの利用一体化技術」を採用し、144台のヘリオスタットマトリックス(可動式反射鏡の集合体)と24台の太陽光凝縮水素製造反応器などの設備を使い、太陽光凝縮方法で水素の大量生産を開始した。

 中国科学院プロセス研究所段東平研究員によると、この太陽光凝縮水素製造方法は、低コストかつ低消費電力の水素製造を可能にする「人類の長年の夢」であり、この世界初の化工生産方式の光触媒による水素製造方法であると説明した。年間200トンの水素生産を目標とし、設計コストは1kgあたり21元(約420円)であると試算された。

 また、同日には、攀枝花の馬店液体水素ステーションも運用を開始した。このステーションは攀枝花市における液体水素の製造、貯蔵、輸送、利用といった全産業チェーンを網羅するモデル事業として位置づけられている。東方電気と航天六院が共同で開発・建設に8,300万元(約16億6,000万円)を投資した。今後、攀枝花水素産業パークとともに、年間売上2,000億円規模の水素生産クラスターを目指すとしている。

 攀枝花市は高性能電解水の触媒や水素貯蔵材料、光触媒材料の基礎となるパラジウムとチタンが中国国内のそれぞれ63%と93%を占め、産業の地理的優位性を持っている。市政府は水素製造企業に対し、水素利用価格、大規模応用、製造設備への支援を行っており、これらの強みを活かして「水素の製造、貯蔵、輸送、利用」の産業チェーンの完全化を図っている。

情報源:北極星電力網、毎日経済網などGCFEN整理

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