中国 新たに公布されたエネルギー法で水素エネルギーの地位が確立された
2024年11月8日、第14回全国人民代表常務委員会は中国初の「中華人民共和国エネルギー法」を可決し、成立させた。2025年1月1日に施行する。
同法は、エネルギー計画、エネルギーの開発利用、エネルギー市場システム[1]、エネルギー備蓄と非常時対応、エネルギー科学技術革新、監督管理、法的責任などの9項目で構成されている。
同法では、エネルギーとは、石炭、石油、天然ガス、原子力、水力エネルギー、バイオマスエネルギー、風力エネルギー、太陽光エネルギー、地熱エネルギー、海洋エネルギー及び電力、熱力、水素エネルギーなどを含む、直接又は加工、変換によって有用なエネルギーを取得する各種資源を指すと定義されている。
水素エネルギーが初めてエネルギー法に盛り込まれた。水素エネルギーはエネルギー源として、また非常時の安定供給を確保するための水素エネルギー備蓄システム、非常用システムにも明確された。今後の水素エネルギーの普及、活用を後押しする。
エネルギー法では、水素エネルギーが全国総合エネルギー計画、分野別エネルギー計画及び省市区発展計画に加わり、水素エネルギーの開発、利用を秩序ある発展を推進するとしている。
同法には再生エネルギーの開発と利用推進策が明記されており、再生可能エネルギーの優先的開発と利用を推進し、化石エネルギーの利用に関して、合理的な開発とクリーンで効率的な利用を支援し、化石エネルギーから非化石エネルギーへの代替、高炭素エネルギーから低炭素エネルギーへの代替を秩序立てて推進する旨が記載されている。水素エネルギーの開発利用については具体的な言及はないが、同法は石油、天然ガスに代わる新型燃料と工業原料の合理的な開発利用を支持することを表明しており、水素エネルギーの発展に多様な可能性を示した。
また、エネルギー市場の価格形成メカニズムを改善することを明確した。価格はエネルギー資源の状況、市場の需給関係、持続可能な発展などの総合的な要素に基づいて確定すると同時に、政府の規制機能を十分に発揮すべきとしている。水素エネルギーの価格も政府の調整・指導の下、市場価格で形成されると見込んでいる。
※[1] エネルギー市場システムとは、石炭、石油、天然ガス、電力、再生可能エネルギーなどを含む多種のエネルギー製品に関する取引プラットフォームを指す。この市場システムは需給関係を通じて取引を行い、エネルギーの安定供給を確保するためである。
情報源:第一財経済網など GCFEN整理