中国鉄鋼産業の需給動向と2026年「新生産能力置換措置」による構造改革の展望

1.中国鉄鋼業界の現状:深刻な供給過剰と収益性の悪化

 近年、中国の鉄鋼産業は、生産能力設備や、生産量が市場の需要や消費量を大きく上回り、生き残りをかけた価格破壊の引下げ競争が激化するなど深刻なによる企業の生き残る対策などの問題に直面している。2024年には業界全体が赤字の瀬戸際に立たされ、主要鉄鋼企業の純利益は前年比50.3%減、平均売上高利益率はわずか0.71%(売上高1,000円に対して利益が約7円の利益しか出ていない)にとどまったと報道された。

 中国鉄鋼協会のデータによると、2025年の全国の粗鋼生産量は9億6,100万トンで、前年比4.4%減となった。見かけ消費量(国内生産量 + 輸入量 - 輸出量)は8億2,900万トンとで、前年同期比7.1%減を記録しているとなった。設備稼働率は約80%と一見高水準ながらを維持しているものの、依然として約2億トンの過剰生産が依然として存在しており、業界は「増産しても収益は伸びず、市場シェア維持のために価格を引き下げ、増産しても収益は伸びないる」という悪循環に陥っている。

 実際、国家統計局のデータによると、粗鋼生産量は2026今年1〜月から5月期までの粗鋼生産量は前年同期比3.9%減ので4億1,600万トンとなった。り、また、前年同期比3.9%減となった。国家発展改革委員会の統計と業界データから算出されたに基づく計算では、同期間の見かけ消費量は約4億800万トンから4億900万トンの間と推定される。

2.工業情報化部による新措置の導入と生産能力抑制ルールの厳格化

 工業情報化部は2026年4月29日、過剰生産能力の解消問題に対処し、鉄鋼業界の再編(合併買収)の加速、グリーン・で低炭素な転換、および質の高い発展のを推進を目的とした促進するため、工業情報化部は2026年4月29日に「鉄鋼業生産能力置換実施措置」(同公布日から施行、以下「新措置」という)を発表公布した。

 2021年版の旧措置に公布された「鉄鋼業生産能力置換実施措置」と比較すると、新措置では地域による基準の差異を撤廃しがなくなり、全国一律での製鉄・製鋼の生産能力置換率を「1.5:1以上」に一律に引き上げたている。従来は、京津冀(北京・天津・河北)地域や長江デルタなどの大気汚染対策の重点が深刻な地域のみにが1.5:1が適用されの比率を実施しており、その他の地域は1.25:1であった。今後は、地域を問わず、全国どこでも東部沿岸地域であろうと中部・西部地域であろうと、製鉄・製鋼能力を新たに1トン増設する際には、旧式設備の1.5トン分の旧式設備を閉鎖・解体することが義務付けられるしなければならない。

 新措置では、2年間の移行期間(2028年5月18日までの2年間)が移行期間として設けられる。この移行期間中は、円滑な市場の混乱を避けて円滑な移行を確保するため、他の企業への生産能力置換枠設備能力割当量の移転・(割当量の売却)が引き続き認められる。しかし移行期間の終了後は、実質的な合併・買収(M&A)を伴うによって行われる方式のみに限定して許認可される。さらに、いわゆる「ゾンビ設備」や、非効率設備、遊休設備は置換割当量の対象外となる。され、法令を遵守し有効な設備のみが対象となり認められ、置換率は実際の有効な生産能力設備に基づいて厳格に算出決定されるとする。

3.今後の市場展望:業界再編(M&A)の加速とハイテク鋼材へのシフト

 中国の鉄鋼コンサルティング会社は、今後1~2年で鉄鋼業界の合併・買収M&Aのペースが加速すると予測している。なかでも、国有企業による地方の民間中小鉄鋼企業の買収がは、今後の主流モデルとなる見通しであるだろう。中国宝武鋼鉄集団、鞍鋼集団、河北鋼鉄集団、首鋼集団といった中央政府系国有企業は、資本や、技術、政策面での優位性を活かし、地方の生産能力の統合を加速させる。一方、地方の民間大手企業も、地元の中小企業を吸収・統合することで、地域内の過度な競争を緩和し、市場支配における影響力を高めていくとみられるだろう。こうしたM&Aの進展に伴い合併・買収が続くにつれ、鉄鋼業界の集約度は一段と高まる見込みであよう狙っている。

 統計データによると、現在、中国国内で製鉄・製鋼(粗鋼などの)生産能力を持つ企業は約600社存在しているあり。、そのうち、中国鉄鋼協会が2025年に発表した主要会員企業(は109社)、その生産量がは全国総生産量の90%以上を占めている。さらに、中国宝武鋼鉄集団を含む上位10社の大手鉄鋼企業による生産量は、全国の粗鋼生産量の43%以上に達しており、大手への集中が進んでいである。

 中国では、不動産・建設業界における鉄鋼使用量は減少すしている一方で、製造業からの鉄鋼需要が鉄鋼消費を牽引する主要因となっている。特にまた、新エネルギー車(NEV)や、ハイエンド造船、風力発電・、原子力発電といった低炭素・ハイテク産業の成長に伴いが、高級電磁鋼板や、特殊船舶用鋼板をはじめとする、その他のハイエンド材料の需要は今後さらに拡大していくとみ拡大していくと考えられる。

中国発展改革報社(2026/06/01)、人民網財経、新浪財経等の報道に基づき整理。

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