中国での水素燃料電池産業の政策情報について(2017~2020年)
2017年上海市が水素燃料電池自動車産業発展企画を公表後、中国では水素燃料電池自動車産業について密度が高い政策の公表時期を迎えてきた。
- 4年間22省市で105政策文書を公布
香橙会研究院の統計によると2017年以降、中国各地方政府から公布された水素と燃料電池産業関係する政策文書は合計105件で、国内22省市を含む。そのうち、広東省は20件、江蘇省と山東省は各10件、浙江省は8件、上海市と山西省は各7件、湖北省と天津市は各6件、他は5件以下である。
公表の時期で見ると、2017年は2件だが、2018年から2020年にかけて続々と増加し、それぞれ10件、38件、55件であった。
政策内容を見ると、水素/燃料電池自動車発展企画に関するのが最も多く合計63件で、発展政策については14件、水素ステーション(以下、「水素ST」と略す)管理方法については12件、補助金政策については10件、その他6件であった。
- 現在の地方企画中、2020年燃料電池自動車9万台、水素STは840基
水素/燃料電池自動車発展企画中の水素燃料電池自動車と水素ステーションの目標数を整理した結果は表1のようである。(本文の統計結果は32文書を統計対象とし、省レベルと市レベル文書がある場合、省レベルを主とした)。
2023年の目標を明確にしたのは現在9省市で、2023年までに水素燃料電池自動車の確保量を27,000台以上、水素ST確保量を280基以上とした。2025年を目標としている企画は20件で、2025年までに、水素燃料電池自動車の確保量は90,000台以上、水素ST確保量は840基以上となっている。
これらの企画情報を見ると、「省エネルギー・新エネルギー自動車技術ロードマップ2.0」の目標達成が期待できる。
表1. 32省市水素/燃料電池自動車発展企画中の水素自動車及び水素ST目標
- 水素ST補助金が最も多いのは青島、最も重視されるのは広東省
水素ST建設補助金と水素充填補助金については、24省市及び区の公表文書で水素STに関わっており、そのうち13件が水素充填の補助となっている。
青島西海岸新区で2020年12月31日以前に建設された水素充填能力500kg/日以上の固定式水素STには、最も多い900万元の補助金である。次に多額なのは佛山南海区と長治市上党区で、同規模の固定式水素STは最大800万元が補助される。3位は広州黄埔区で、600万元となっている。
表2. 8か所水素ST建設補助状況
単位:(万元)
- 13か所は水素充填に対して運営補助、大連の補助力は最大
現在13か所で水素に関する補助のうち明確に水素充填運営に補助するとしているが、省レベルの文書はまだない。
キログラム毎の水素販売補助が最も高いのは大連である。大連市の規定では、2020年と2021年に水素販売額20元以下(35MPa)、20元以下(70Mpa)に対してそれぞれ40元/㎏、50元/㎏を補助している。ただし、1つの水素STの年間の補助額は200万元以下となっている。そのほか、常熟市では70Mpa水素充填に対して補助し、水素販売額45元以下の時にキログラム毎に25元を補助する。
水素充填補助の2位は濰坊で、2019年には水素の販売額46元/㎏の時に30元/㎏を補助していたが、2020年には、販売額46元/㎏以下の時に10元/㎏を補助するとした。その次は長治市上党区で、2019~2020年の水素販売額40元/㎏以下の時に24元/㎏を補助するとしている。
表3. 中国各省市の水素充填補助一覧
佛山南海区、広州黄埔区、青島西海岸新区の3地区では、水素販売額は40元/㎏以下の時に、20元/㎏を補助する。常熟と平湖は水素販売額が35元/㎏に対して同じ補助金額を補助し、嘉興では水素の販売額を指定していない。政策では武漢、成都、天津保税港においては、1つの水素STの最大補助金額には制限があるが、有効期限内に均一で10元/㎏を補助するとしている。
情報源:香橙会研究院によりGCFEN編集作成