中国、「水素産業発展中長期計画(2021~2035年)」を発表
3月23日、中国国家発展改革委員会と国家能源局は共同で「水素産業発展中長期計画(2021~2035年)」(以下「計画」)を発表した。この「計画」は次の3つのことを明確に示した。
- 水素は将来のエネルギーシステムにおける重要な構成要素である。
- 交通・工業等のエネルギー使用の末端設備・装置がグリーン・低炭素へのモデル転換を実現するための重要な媒体が水素である。
- 水素産業は戦略的新興産業と将来産業の重要な発展方向である。
「計画」によると、現在、中国の水素生産量は年間3,300万トンであり、そのうち工業用水素品質基準に達したのは約1,200万トンである。産業チェーン全体で水素産業関連の一定規模以上工業企業(年間売上2,000万元以上の企業)は300社を超え、主に長江デルタ地域[1]、粤港澳大湾区[2]、北京・天津・河北などの地域に分布している。
水素製造、貯蔵、充填、燃料電池とシステムインテグレーションなどの主要技術と生産プロセスを確立し、一部の地域で燃料電池自動車の小規模なモデル利用を実現した。
しかし全体的に見ると中国の水素産業はまだ発展の初期段階にあり、世界のトップレベルに比べて産業のイノベーション力は弱く、技術装置レベルの低さや産業発展を支える基礎的制度の立ち遅れなどが相変わらず存在していて、産業発展の形態とルートのより一層の模索が必要となっている。
「計画」では、各段階における水素産業発展の目標が掲げられた。詳細は下記の通りである。
- 2025年までに、水素産業発展向けの整った制度的・政策的環境を形成し、産業のイノベーション力を大幅に向上させ、コア技術と生産プロセスを確立し、比較的整ったサプライチェーンと産業体制を構築する。
燃料電池自動車の保有量を約5万台にし、水素ステーションの設置を計画して建設する。再生可能エネルギーによる水素を年間10~20万トン製造し、これによりCO2 排出量を年間100~200万トン削減する。
- 2030年までに、比較的整った水素産業技術イノベーションシステム、クリーンエネルギーによる水素製造・供給システムを構築し、再生可能エネルギーによる水素を広く利活用し、CO2 排出ピークアウト目標達成の有力な手段とする。
- 2035年までに交通・エネルギー貯蔵・工業などの分野をカバーする多様な水素利用エコシステムを構築し、水素産業体制を確立する。再生可能エネルギー由来の水素の末端エネルギー消費に占める割合を大幅に上昇させる。
情報源:中国政府網、北極星電力網などによりGCFEN編集
[1] 長江デルタ地域とは上海市と江蘇省南部・浙江省北部を含む、長江河口の三角洲を中心とした地域である。
[2] 粤港澳大湾区とは広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門両特別行政区によって構成される都市圏。