中国の大手鉄鋼企業 水素利用への取組   

   5月14日、中国鉄鋼産業大手企業の包頭鋼鉄(集団)有限責任公司(以下、包鋼集団)は、中国宝武鋼鉄集団有限公司(以下、宝武集団)、河北鋼鉄集団有限公司(以下、河鋼集団)に次いでCO2排出のピークアウトとカーボンニュートラルの自社計画の目標を発表した。

 下表に各社の目標計画を示す。

   鉄鋼企業が技術イノベーションによるCO2排出削減の実施ルートはますます注目されている。この状況下で、水素による冶金技術は鉄鋼産業のグリーンかつ低炭素発展が重要であり、中国の鉄鋼企業はその技術を重要視している。

 鉄鋼企業が公表した「研究開発経費と無形資産に関する年度報告書」と水素による冶金技術の研究開発能力及び進捗状況とを比較した結果、宝鋼集団を代表とした大手鉄鋼企業が水素による冶金技術の研究開発に力を入れていることが明らかになった。

 下表には鉄鋼産業の一部上場企業が公表した経営データと2001年1月1日から2021年3月31日までの特許出願件数を示している。コロナ感染症の影響が大きかった2020年は、一部の企業が2020年度報告書を公表していないため、研究開発費と無形資産は2019年のデータとしている。

  • 注:無形資産は研究開発されたプロジェクトが無形資産の認識要件を満たした場合に計上される。企業は無形資産となる前の研究開発費用を研究開発費としている。

 中国宝武鋼鉄集団有限公司傘下の宝鋼股份は水素による冶金技術に関する特許の出願件数が最も多く、技術的に優位に立ち、無形資産と研究開発能力は他社よりはるかに高い。

 河鋼集団は特許の出願件数がそれほど多くないが、イタリアの大手鉄鋼企業Tenova Groupとの協力プロジェクト、または中国科学院、鋼鉄研究総院(CISRI) 、中国の東北大学との共同で設立した水素技術と産業イノベーションセンターなどから、低炭素発展と水素の開発利用を中心に技術イノベーションの促進や産業チェーンの構築を目指している。

情報源:中国冶金報社より整理作成。

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