2022年全人代、中国「政府活動報告」に水素関連事業の促進方向
2022年3月5日、中国の第13回全国人民代表大会が開幕し、李克強首相は国務院を代表し「政府活動報告」を行った。
政府活動報告はCO2排出ピークアウトとカーボンニュートラル(中国語は「双炭」という、以下同)の実現に向けた取り組みについて生態環境保護のほか、新規に増加する再エネや、原料用のエネルギーをエネルギー総消費量にカウントしないように、新エネルギー自動車の利用拡大を支援する等の方針も示した。
以下は中国のエネルギー情報発信ネット・能源界網に掲載された政府活動報告から抜粋した水素産業や、再エネの発展に有利だという論点である。
エネルギー消費量の統計について
新規に増加する再エネ、原料用のエネルギーを総消費量制御に含めないという政府方針の発表により、各地の太陽光発電、風力発電、エネルギー貯蔵、水素エネルギー設備製造業などの再生可能エネルギープロジェクトの積極的な展開に有利な条件となる。
新たなチャンスを迎える水素エネルギーへの投資
政府活動報告に「積極的に効果的な投資を拡大する。国家の重大な戦略配置と「第14次5カ年計画」をめぐって、インフラ投資を先頭に立って展開する」との内容を発表した。水素ステーション、充電ステーション、充電電池交換などの新エネルギー自動車業界のインフラ建設への投資が増大する環境形成を意味している。
中国の水素ステーションの数は水素エネルギー自動車の大規模発展に必要とされるよりもはるかに少ない。コストが高い水素ステーション建設はより多くの投資が必要となる。今回の政府活動報告によれば、リチウム電気自動車や水素燃料電池車のインフラ問題を解決するため、今年度の国家予算から6,400億元を民生分野に投資する計画である。また、水素エネルギーインフラ分野にその資金の一部が投入される可能性があり、天然ガスパイプラインを利用して水素輸送や水素ステーション建設に一定規模の増加が期待される。
引き続き新エネルギー自動車の消費を支援する
政府活動報告から見ると、2022年の新エネルギー自動車補助金政策を取り消すようなことがない、引き続き新エネルギー自動車産業を支援すると理解されている。これは水素エネルギー燃料電池車製造企業とユーザーにとって有利なニュースである。
「双炭目標」を推進する
政府活動報告は、「双炭目標」を秩序正しく推進し、計画に基づきグリーン低炭素技術の研究開発と普及応用を推進し、グリーン製造とサービス体系を構築し、鉄鋼、非鉄金属、石油化工、化学工業、建材などの業界の省エネ・炭素削減を推進する。CO₂排出と汚染排出を引下げるような企業行動にインセンティブを与え、グリーン生産を加速させると強調された。
中国の鉄鋼産業が排出するCO₂の量は中国の排出全体の15%、世界の鉄鋼業界の60%以上を占めている。鉄鋼業に水素エネルギーを導入することはCO₂削減に大きな役割を果たす。中国の鉄鋼業界の技術革新は加速に努力している。
非鉄金属開発、石油化工、化学工業への水素エネルギーの導入も積極的に推進しており、「双炭目標」の実現の役割を果たしている。
情報源:能源界、北極星電力網よりGCFEN編集